search

Dear my life - BCNO/雨歌エル.lrc

LRC Lyrics download
[00:28.371]私は、私自身の脚本家でありたかった。
[00:31.707]怒涛の現実に頭を擡げることなく、
[00:34.557]凛とした演出で観衆を沸かせるのだ。
[00:37.577]名も知らぬあの鳥のように大空を優雅に飛び、
[00:41.029]短命の内にこの世を去ろう。
[00:43.184]そう思ったのは十八の春だった。
[00:45.738]あの混沌の時代を私は虚構で乗り切ろうと思っていた。
[00:50.217]脚本によって現実を乗り越えたかった。
[01:16.974]数々の風景があった。
[01:20.481]眼前に佇む彼女の
[01:22.660]その小さく白い手に触れる瞬間、
[01:25.239]風が吹いた。
[01:27.596]黒髪を揺らす淡い風が、
[01:30.042]私の背後から唐突に走り去って消えた。
[01:32.777]あの光景を私は未だに忘れない。
[01:36.155]忘れられないのだ。
[01:38.061]だから追いかけるように音楽を作った。
[01:43.132]風に吹かれた蒲公英の綿毛は、
[01:45.772]私を待たずして明日へ向かうのだ。
[01:48.257]その点において私は無能であった。
[01:51.589]唯、待つばかりの生き物であった。
[01:54.924]何処へ向かうかも分からぬ帆船の上、
[01:58.685]私は宛先不明の手紙を持って甲板に立ち、
[02:02.376]唯、立ち止まったままでいた。
[02:33.183]航海は始まっている。
[02:35.223]怒濤の現実は時間と名乗る。
[02:37.868]私は私である覚悟を決めたつもりだった。
[02:41.171]また、そうでなくては話にならなかった。
[02:44.356]しかしあの風を、
[02:47.334]私はまだ言葉にしてやれなかった。
[02:49.964]愛すべき我が人生よ、許して欲しい。
[02:53.842]私は言葉の上でさえ小さな一羽の鳥になれない。
[03:02.107]
text lyrics
私は、私自身の脚本家でありたかった。
怒涛の現実に頭を擡げることなく、
凛とした演出で観衆を沸かせるのだ。
名も知らぬあの鳥のように大空を優雅に飛び、
短命の内にこの世を去ろう。
そう思ったのは十八の春だった。
あの混沌の時代を私は虚構で乗り切ろうと思っていた。
脚本によって現実を乗り越えたかった。
数々の風景があった。
眼前に佇む彼女の
その小さく白い手に触れる瞬間、
風が吹いた。
黒髪を揺らす淡い風が、
私の背後から唐突に走り去って消えた。
あの光景を私は未だに忘れない。
忘れられないのだ。
だから追いかけるように音楽を作った。
風に吹かれた蒲公英の綿毛は、
私を待たずして明日へ向かうのだ。
その点において私は無能であった。
唯、待つばかりの生き物であった。
何処へ向かうかも分からぬ帆船の上、
私は宛先不明の手紙を持って甲板に立ち、
唯、立ち止まったままでいた。
航海は始まっている。
怒濤の現実は時間と名乗る。
私は私である覚悟を決めたつもりだった。
また、そうでなくては話にならなかった。
しかしあの風を、
私はまだ言葉にしてやれなかった。
愛すべき我が人生よ、許して欲しい。
私は言葉の上でさえ小さな一羽の鳥になれない。