[00:22.960]厚紙(あつがみ)の箱(はこ)に捨(す)てられた
[00:25.705]命(いのち)ならば値打(ねう)ちはないか?
[00:28.454]バス停(てい) 待(ま)ち合(あい)に渦巻(うずま)く
[00:30.951]見(み)て見(み)ぬふりの雑踏(ざっとう)
[00:34.203]書(か)き損(そん)じはどうしよもないが
[00:36.953]それに勝(まさ)る反吐(へど)が出(で)ないか?
[00:39.450]その行方(ゆくえ)は今日日(きょうび)じゃ
[00:43.201]誰(だれ)も知(し)らない
[00:47.449]母(はは)の手(て)を零(こぼ)れた
[00:52.952]小(ちい)さな命(いのち)は
[00:58.954]後部座席(こうぶざせき)に勝(まさ)る価値(かち)もない
[01:06.953]何者(なにもの)にもなれる命(いのち)で
[01:12.444]救(すく)えるもの ひとつもないのだ
[01:17.947]これほどに 器用(きよう)な手先(てさき)で
[01:23.696]救(すく)えるもの ひとつもないのだ
[01:28.201]僕(ぼく)たちは
[01:52.198]底知(そこし)れた愚鈍(ぐどん)な世界(せかい)だ
[01:54.948]書(か)き物(もの)に筆(ふで)を取(と)れども
[01:57.702]ぶちまけたインクのそれが
[02:00.198]ひどく適切(てきせつ)ではないか?
[02:03.191]死(し)にたいかと言(い)われりゃ
[02:04.934]特(とく)に死(し)ぬほどの孤独(こどく)でもないが
[02:08.682]生(い)きたいか問(と)われたら
[02:10.438]何(なに)も言(い)えない
[02:16.442]虚(むな)しさに適(てき)した表情(ひょうじょう)はどれだ
[02:28.187]書(か)き始(はじ)めの言葉(ことば)は
[02:33.936]
[02:33.936]「生(う)まれた意味(いみ)などなかった。」
[02:35.933]
[02:36.187]先見(さきみ)えぬ小説(しょうせつ)を読(よ)めば
[02:41.691]捲(めく)り終(お)えぬ世界(せかい)があるのか？
[02:47.438]振(ふ)り向(む)けば 崩(くず)れる足場(あしば)で
[02:52.941]明日(あした)から何処(どこ)へ向(む)かうのだろう
[02:57.306]僕(ぼく)たちは
[03:09.800]——アンノウン(unknown)——
[03:12.550]「私(わたし)は誰(だれ)だ」
[03:14.046]「貴方(あなた)は誰(だれ)だ」
[03:15.302]——アンノウン(unknown)——
[03:18.052]消(け)しては 書(か)いて
[03:19.549]丸(まる)め捨(す)てては
[03:21.047]——アンノウン(unknown)——
[03:23.556]自分(じぶん)ひとつが未(いま)だ書(か)けない
[03:26.550]生(う)まれた意味(いみ)などないのか？
[03:29.304]生(う)まれた意味(いみ)などないのか？
[03:32.053]——生(う)まれた意味(いみ)などないのだ。
[03:37.545]事切(ことき)れぬものなんてないのに
[03:43.049]救(すく)えるものひとつもないのに
[03:48.551]この命(いのち)に 意味(いみ)などないのに
[03:54.054]優(やさ)しい明日(あした)なんて ないのに
[03:59.811]行(い)かなくちゃ
[04:00.802]たとえ死(し)に向(む)かって 歩(ある)いていたって
[04:05.050]書(か)かなくちゃ
[04:06.547]当然(とうぜん)余白(よはく)も残(のこ)っちゃいないが
[04:10.773]知(し)らなくちゃ
[04:12.026]明日(あす)を この途方(とほう)もない暗晦(あんかい)を
[04:16.274]生(い)きなくちゃ
[04:17.771]生(い)きなくちゃ
[04:19.281]生(い)きなくちゃいけない

厚紙(あつがみ)の箱(はこ)に捨(す)てられた
命(いのち)ならば値打(ねう)ちはないか?
バス停(てい) 待(ま)ち合(あい)に渦巻(うずま)く
見(み)て見(み)ぬふりの雑踏(ざっとう)
書(か)き損(そん)じはどうしよもないが
それに勝(まさ)る反吐(へど)が出(で)ないか?
その行方(ゆくえ)は今日日(きょうび)じゃ
誰(だれ)も知(し)らない
母(はは)の手(て)を零(こぼ)れた
小(ちい)さな命(いのち)は
後部座席(こうぶざせき)に勝(まさ)る価値(かち)もない
何者(なにもの)にもなれる命(いのち)で
救(すく)えるもの ひとつもないのだ
これほどに 器用(きよう)な手先(てさき)で
救(すく)えるもの ひとつもないのだ
僕(ぼく)たちは
底知(そこし)れた愚鈍(ぐどん)な世界(せかい)だ
書(か)き物(もの)に筆(ふで)を取(と)れども
ぶちまけたインクのそれが
ひどく適切(てきせつ)ではないか?
死(し)にたいかと言(い)われりゃ
特(とく)に死(し)ぬほどの孤独(こどく)でもないが
生(い)きたいか問(と)われたら
何(なに)も言(い)えない
虚(むな)しさに適(てき)した表情(ひょうじょう)はどれだ
書(か)き始(はじ)めの言葉(ことば)は
「生(う)まれた意味(いみ)などなかった。」
先見(さきみ)えぬ小説(しょうせつ)を読(よ)めば
捲(めく)り終(お)えぬ世界(せかい)があるのか？
振(ふ)り向(む)けば 崩(くず)れる足場(あしば)で
明日(あした)から何処(どこ)へ向(む)かうのだろう
僕(ぼく)たちは
——アンノウン(unknown)——
「私(わたし)は誰(だれ)だ」
「貴方(あなた)は誰(だれ)だ」
——アンノウン(unknown)——
消(け)しては 書(か)いて
丸(まる)め捨(す)てては
——アンノウン(unknown)——
自分(じぶん)ひとつが未(いま)だ書(か)けない
生(う)まれた意味(いみ)などないのか？
生(う)まれた意味(いみ)などないのか？
——生(う)まれた意味(いみ)などないのだ。
事切(ことき)れぬものなんてないのに
救(すく)えるものひとつもないのに
この命(いのち)に 意味(いみ)などないのに
優(やさ)しい明日(あした)なんて ないのに
行(い)かなくちゃ
たとえ死(し)に向(む)かって 歩(ある)いていたって
書(か)かなくちゃ
当然(とうぜん)余白(よはく)も残(のこ)っちゃいないが
知(し)らなくちゃ
明日(あす)を この途方(とほう)もない暗晦(あんかい)を
生(い)きなくちゃ
生(い)きなくちゃ
生(い)きなくちゃいけない