[00:15.54]その日わたしは音楽の中にいたから
[00:27.42]あなたのいるところまで駆け出してゆけた
[00:40.05]その日わたしは絵筆の先の方にいたから
[00:52.54]汚れた下着を洗うナイチンゲールの
[01:03.54]帰る家の灯りを点すことができた
[01:15.82]その日わたしは本の片隅にいたから
[01:28.18]言葉の刃に赤い血をつけても
[01:40.06]小さく切り刻むのは茹で卵だった
[02:00.29]その日わたしはフイルムの中にいたから
[02:13.25]嘘も本当も同じ顔して写り
[02:24.78]お互いのことをよく知っているとわかっていた
[02:38.22]その日わたしは映画の一コマにいたから
[02:51.37]あなたがぶたれたとき痛いのはわたしじゃなくて
[03:03.74]わたしには「見ていた」という役があると知った
[03:16.89]その日わたしは愛について考えたから
[03:29.62]自分をやめようと 棄ててしまおうと思っても
[03:42.50]自分を嫌いにだけはならなかった
[03:57.69]その日わたしは音楽の中にいたから
[04:10.59]あしたともきのうとも手をつなぎながら
[04:22.49]ここにいるよと謳われていた
[04:32.49]その日わたしは
[04:38.29]その日わたしは
[04:44.29]なくても生きていけるものに
[04:54.69]生かされていた

その日わたしは音楽の中にいたから
あなたのいるところまで駆け出してゆけた
その日わたしは絵筆の先の方にいたから
汚れた下着を洗うナイチンゲールの
帰る家の灯りを点すことができた
その日わたしは本の片隅にいたから
言葉の刃に赤い血をつけても
小さく切り刻むのは茹で卵だった
その日わたしはフイルムの中にいたから
嘘も本当も同じ顔して写り
お互いのことをよく知っているとわかっていた
その日わたしは映画の一コマにいたから
あなたがぶたれたとき痛いのはわたしじゃなくて
わたしには「見ていた」という役があると知った
その日わたしは愛について考えたから
自分をやめようと 棄ててしまおうと思っても
自分を嫌いにだけはならなかった
その日わたしは音楽の中にいたから
あしたともきのうとも手をつなぎながら
ここにいるよと謳われていた
その日わたしは
その日わたしは
なくても生きていけるものに
生かされていた